しがない内科医の雑念

底辺医がなんか語っとる

例の件

状況はあまり変わってないような。
連日テレビでああでもねえこうでもねえ、って言うもんだからテレビばかり見てる高齢者は不安と運動不足などによるストレスから血圧上昇している。たまに不定愁訴でコロナ不安と受診。漠然とした不安から、もしくは要請を真に受けてひきこもり、電話処方を希望。
メンタルの弱い奴からやられている。やられるというのは、気分不快・不安のみならず買い物に並んだり、無駄に高いマスクやらその他余計なものを買ったり。非常事態で落ち着いて適切に思考・行動できるかという試金石。自分はどうだろう。

テレビではやることないためか、政治議論のみならず、医学的内容についても素人があーだこーだ言っているのが不思議。よくもまぁ、何もわかってないのに語れるなぁ。誰でも最初は検査しろしろって言うけど、ちょっと思考能力がある人は、そうじゃないかもって次の段階の考えを持てる。これも一つの試金石。検査しろしろから抜け出せないのはそれなりの人。
けど専門家(最低限医師、できれば感染症・疫学の)もまた意見が分かれてて、よくわからない。私でよくわからないのだから非医師はどうしたらいいのか、わかるわけない。
医者でも、熱もないのにPCRを受けたがる人がいる。今陰性で安心できるの?(尚感度40~70%)また同じ生活してれば明日感染するかもしれないのに。

緊急事態宣言といっても外国みたく外出禁止じゃなくて「なるべくおうちにいてね」って優しく、接触を避けましょうというお願い。他人と接触しなければいいなら、ドライブだの、ひとけのないところを散歩するのは全く問題なさそうだが、一概に家に居ろと言われても、そんなの従えないな。ウイルスというのは外のそこらへんの空気中に漂っているものではない。感染者が放出したりそこらになすりつけたりしているものだから、それにさえ近づかなければいいはず。

自粛ムードは不謹慎厨の温床で、やれ3密だ、吉祥寺やら江の島の人出がって、せんせーXXちゃんが悪いことしたよー、みたいなマスゴミの稚拙。それをけしからん、って言いたい高齢者が沢山いて、テレビはそれが客だから。
橘玲「テレビはバカに娯楽を提供するメディア」 (ググれば読めます)

人と人との接触を避けるのは、感染爆発で医療崩壊すると助かる人も助からなくなる(し医療従事者がタイヘンだ)から。もしそんな非常事態にも対応できる人員と施設(リソース)を普段から用意しておいたらとんでもなく無駄に金がかかる。普段の状態で満床近くをキープしリソースをフル稼働させておくのが理想的病院経営であり、つまり余裕なんてないのが正しい。それが最適化。
でもおそらく、もっとも早期に解決(集団免疫を確立)する方法は、一気ににみんなに感染(感染爆発)させて死ぬ人は死んで、生き残った人だけで後の世界をやってくこと。人命第一(と医療従事者が忙しくなり過ぎないこと)のためには、接触を避けゆっくり感染が広がる現状でいいってことになるけど、これは一番時間がかかる。この調子でいくと2年くらいかな。みんなそんなに耐えられないだろう。その前にコロナだ自粛だ、に飽きる(喉元過ぎれば熱さを忘れる)。2年すれば薬もワクチンもできそうだが、医者はその前に感染しそう。

何かのせいにしたい人は、世代間闘争にしたりもする。どうせかかっても若者は軽症だから(そりゃ千人に1人くらいは死ぬかもしれんが)自由にしてて、それを、致死率の高い高齢者が批判する。
高齢者施設でクラスターが発生すると回転が良くなるし、寝たきり高齢者が万単位で消失すると良い事あるかも。

それにしても内科外来は空いている。電話処方や薬だけもあるだろうけど、来ない人は薬を飲んでいるのだろうか。もしかして、降圧薬やスタチンやバイアスピリンを飲まなくても体調に変わりはないことに気付いてしまったのだろうか。
未来(予防)よりも今が良ければいい、っていう風に悟ってしまったら僕らの仕事は半分くらいになりそうだ。