しがない内科医の雑念

底辺医がなんか語っとる

無駄な医療がバレるとき

高齢者中心の内科外来では、いまだ患者数が完全には回復してない。
薬だけとか、もしくは久しぶりに受診した人に聞くと、もちろんコロナで受診ひいては外出をを控えてたと言うけど、どのような外出をすることでどの程度コロナ感染リスクが実際に高くなると思っているのか等詳しく尋ねても、明確に合理的な返答はない。なんとなく何もしたくない、何もしない方がいい気がする。そんな感じ。外出を控えて運動不足から太ったり、血糖も血圧も悪化している。
普通に考えて、人間がいないところに出かけてもコロナ等の感染リスクは無いけど、多くの人は、そういう細かいことは考えてない。基本的になんとなくの空気で動いている。だがこれを老人の愚鈍と責められない。老人のみならずほとんどの人間は、少なからず感情や雰囲気に支配されているのだから。ひとの評価なんて第一印象でほとんど決まるし、その要素の大半は見た目。合理的な根拠よりも世間の空気で動く。老人はやることないのでよくテレビを見るから、その影響がとても大きい。テレビの伝え方次第でいくらでも洗脳できるし、実際されているためほとんどの老人はコロナ脳で、自分だけはコロナにならないために外出を控えてイソジンうがいをしたい。コロナになったら大変だ・たぶん死ぬ、と思っている。
(人間はそれなりに居るけど)病院受診でコロナ感染リスクが上がることはないし、定期受診して慢性疾患への必要な対応をすべきだけど、どうもコロナ恐怖がそれに勝ってしまったようで、病院の負けってとこか。以前はよく”みのもんた”に負けてたし(医者の言うことより”みの”の健康法を信じる高齢者多数)、病院や医者の影響力(信用)はそれほど強くないということ。

別の見方をすれば、これまでは不要不急の患者・受診で食いつないできたけど、ここへきてそれがなくなって赤字化した、コロナで減収・赤字化する病院はもともと体力がなく、不要な受診に頼ってなんとか継続していただけとも言える。高血圧や高脂血症治療、高齢者の健診なんてほぼ無駄なんだから(よく知らないが外科系では無駄な手術もいっぱいあろう)、それが無くなって、それをエサにしてた医療機関が淘汰された方が、未来は改善しそうだけど、残念ながら自分も淘汰される側なんだな。
さて、今日も自分の生活のために無駄な医療に貢献しよう。