しがない内科医の雑念

底辺医がなんか語っとる

過度な期待はしないでください

新型コロナが「はやりかぜ」になる日は近いのか
関節リウマチ薬「アクテムラ」にかかる大きな期待
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61217

なぜアクテムラがこんな話になるのかわからない。
インフルと比べ、コロナは肺炎になりやすいから危ないけど、有効なワクチンか治療薬が出ればインフル程度の問題に終息するだろう。そんな薬は、今はまだない。かといってこのまま防御一辺倒で1年も2年もやってられない。どうせ死ぬのはほぼ高齢者だから病院がパンクしない程度に国民の活動性を維持して、でいいと思うけれども、そうすると、あなたのおじいちゃんおばあちゃんが死んでもいいのかって脅す人がいる。なったらしょうがないでしょ、コロナにならなくても10年くらいで死ぬよ。日本は理想主義的で(というかそういう志向の”左”の人が多いのか)、すぐゼロリスク探求という、漸近線に向かって走りつづけるような苦行を始めちゃうんだけど、大都市でこれだけ感染力のあるウイルスを防御だけで完全に抑え込めるわけがない。人々が活動すれば患者が増えるのは当然で、東京都で感染者が1日何百人か出るのは”悪いこと”ではない。患者数の多寡だけで良し悪しを判断するという単純な思考はやめよう。死ななきゃOK、むしろ集団免疫獲得に少しずつ近づいているのかもしれない(ただ3か月でコロナ抗体が消えるという話も(^_^;)。
コロナ患者を悪者扱いするのは人種差別と同様。田舎だと顕著だね。いずれ自分も罹患する可能性があるから、差別よりもっと馬鹿らしい。魔女狩りか。一生コロナから遠ざかりたいならド田舎に引っ越して通販生活でもすることだ。
さてようやく副題の話だけど、ようはコロナによるサイトカインストーム(とARDS?。つまり二次性炎症)をステロイド(なぜデキサメサゾン限定なのかも不明だが)、さらにはアクテムラで抑えられるという話。その一点においては良いかもしれないけど、基本的にはいずれも免疫を抑える治療だから、火事を爆弾で鎮火するようなもので、そうしないと死にそうな時に仕方なくやるような治療で、決して最初からアテにして是非使うようなものじゃない、って思うのだが、医者以外にはそのあたりのニュアンスがわからないのだろうか。アクテムラはリウマチみたいな原発性・一次性の炎症にはぴったりだけど、感染症の結果の炎症だけを抑えても、子分だけ倒して親分はむしろ元気になっちゃうみたいで、気持ちよくないね。