しがない内科医の雑念

底辺医がなんか語っとる

代替医療は否定も肯定もできない

西洋医学という言い方はしたくない。西洋vs東洋みたいな誤解を招きやすい。そうではなく、医学を学問・科学とするなら医学とはいわゆる西洋医学のみを指し、それ以外は存在しない。対立概念として東洋医学というには、それは科学としてはまだ発展途上すぎる。広義の治療を定義するなら、その基本概念は(西洋)医学・東洋医学(ただし途上)・その他(代替医療)に分けよう。

我々臨床医は、代替医療を利用する(主に)高齢者を無知・無理解と非難することはできない。代替医療は、(西洋)医学が対応できない症状と不安に対応する。医者が、他にやりようがないからと、ほぼ無効な薬をわかってて「これで様子をみるしかないですね」と継続するのは不誠実である。それならばせめて漢方を試すか、それもダメなら患者が代替医療に頼るのも認めるべきである。というか否定できない。何せお手上げなのだから。(西洋)医学で対処できない病気や症状は多い。根治できる病気は感染症良性腫瘍や初期の悪性腫瘍程度?なのだから、医学はまだまだ発展途上。

かといって代替医療を肯定するわけでもない。ほとんどの代替医療は科学的に明確に否定されているものであるので、効果の上限はプラセボ効果。つまりは宗教、祈祷と同じ。ただ少なくとも精神的効果はある。それでもゼロよりはマシと利用するのも一つの方法ではあるけど、その精神的効果に頼るのは弱い精神である。生まれつき(?)弱い精神の人は仕方ない。人間の脳の構造はおそらく1万年くらい前から変わってないから、原始における非科学的合理性(強い生き物を食べれば自分も強くなれる)みたいな考え方を、現代人がしてしまう事もあろう。けれども個人的には弱い精神は好まない。苦しくても強がりたい。薄々嘘だとわかってても、代替医療や神仏・宗教なんかに頼らざるを得ない人もいるが、自分個人はそっち側にはなりたくないと思っているので、たまにそういった仲間がいると嬉しく、頼もしく思う。