しがない内科医の雑念

底辺医がなんか語っとる

コロナ引きこもり高齢者の賭け

都県をまたぐ移動の自粛を、っていうのが前から意味がわからない。通勤で毎日またいでいるからってのもあるけど、じゃ都民は、都内で遊べばいいの?(実際そうしてるけどね、今は観光客が少ないから)都県をまたいで困るのは国民ではなく、それで感染が起こった場合の対応が役所的に面倒だからってだけじゃないかな。ウイルスは県境なんて知らない。

いまだ外出したくないから電話で処方してくれっていう高齢者がいる。高齢者は頑固だから、一度外は危ないと思っちゃったら、もうなかなか出てこない。死にたくない、コロナ怖い、しか考えられない。80歳くらいの人で、去年から通院以外はほとんど外出してないって人がいた。買い物も家族に任せていると。よくそんなに狭い範囲だけで生活してて我慢できますね、って言ったけど、別に困ってないと。完全室内飼いの猫みたいなもんか。深く考えないタイプか。外出しなくて問題ないし家でもほぼ何もしてないようで、悟っているのかボケているのか。
その人は外出したい希望もあまりないようなので今後死ぬまで家にいればいいだろうが、今我慢してしばらくすれば状況は改善する、なんて想定はしない方が良いと思う。若い人で流石にそれはないだろう、どうせコロナになっても(たいてい)治る。80歳だと平均余命は10年くらい、で通院してて持病があるならもっと短いだろう。その貴重な最初の2年くらいを犠牲にしたところで、ワクチン打って?コロナが終息して?82歳くらいから普通の生活に戻っても(戻れたら、だが)残された時間は短い。しばらく引きこもったところでコロナリスクがゼロになるわけじゃないし、もしかしたら死ぬまでコロナリスクが続くかもしれない。あと高齢者が引きこもったら動けなくなりやすい。高齢者こそ、自由に動ける今の時間、1年1年が貴重である。その残り少ない余命のうち貴重な2年ほどを捨てちゃうデメリットは、2020~1年に(そこそこ)好きなことをしてたためにコロナに罹患して死ぬリスクよりもずっと大きいと思うが。