しがない内科医の雑念

底辺医がなんか語っとる

言って欲しい言葉

頭が痛いとか首筋がこるとか手がしびれるとか言う初診の高齢者の多くは、医者の「…まぁ脳梗塞はないと思いますが」の一言で流れが変わることが多い(心臓じゃない、っていうパターンもある)。脳梗塞じゃないんですね!ずっと心配だったんです!!うわーよかった!!!
って無邪気に喜んで帰るけど、今はそうじゃないというだけで、年齢やリスク因子から明日脳梗塞を発症してもおかしくない人が手放しで喜んでいるのを見るのは複雑な気持ちである。
自分から「脳梗塞が心配」って言ってくる人もいるけど、慎ましい(?)日本人高齢者の特徴か、一番心配なことは言葉にするのも憚られる様子であれこれダラダラと不定愁訴を言うんだけど、彼らの希望は一つ、脳梗塞を否定して欲しいということだけ。普通に考えれば(それがわからないから来るんだろうが)普通に歩いて来院して色々喋ってる人が(少なくとも治療必要な)脳梗塞とは思えないが、とにかくキーワードを言ってもらえればニッコニコで帰ってくれる。けど、自分からは教えてくれない。こちらが察して言ってあげなくては、そのうち頭のMRIを撮ってくれとか言い出し、不要と言っても「不親切な先生」と思うだけで人の話を聞かなくなるから、早いうちに必要な言葉を与えるのが正解っぽい。