しがない内科医の雑念

底辺医がなんか語っとる

子供を医学部に入れたいか

自分の大学の同期の子供が次々と自分の出身校(三流私大)に入学している。親子で同じ大学の医学部、下手すると科も同じ例が稀ではない。子供が大学生、自分ももうそんな歳なんだ、気づかなかったよ。それはいいとして、なんだかなーと思う理由を書いてみる。
子弟入試についてはYoutubeでも解説されている。公式に枠を設けているのは日大、金沢医大、女子医、東邦、昭和とのことだが、私立は面接で加点等いくらでも便宜できよう。不文律で寄付金いくら以上なんてやると、裏口との境界が曖昧なグレーゾーンである。

1. 子供も同じ大学って、上位私大でもあるけどイメージとしては下位私大に多そう。特に教授選が実質的に非公募な大学とか、学生も教員もウチウチで固まってそう(そういう風通しの悪いところは臨床も研究も残念なレベルであろう)
2. 親が開業医なら子供も医者にしたい気持ちはある程度わかるが、ここ20〜30年で明らかに医者の待遇は低下してきており、これから勤務医になるのはそれほど人生イージーモードでもない(ただ会社員が勤まらないような人でもそこそこの給料が貰えるのは確か)のに、子供も医者にしたい医者が本当に多い。
 2-1. 医者は世間知らずで先生先生言われてるから、よくわかんないけど他の仕事はタイヘンで薄給、医者は高給取りで偉いと思ってる(実際には勤務医の給料は銀行員や一流企業と大差ない。今後は銀行も厳しそうだが)
3. およそ金はあるんだから、教育に金をかけて子供を国公立医学部に入れられそうなもんだけど、それはなかなか難しいようで。
 3-1. 最近の医学部人気で成績上位者から国公立医学部の席を埋めてしまうので、普通に勉強ができる程度だと頑張っても私立医学部がやっと
 3-2. 親子とも、私立医学部の学費を払えるのがわかっているから、無理してでも国公立を目指そうという気持ちが薄い(医者はなってしまえば、一流の研究をするとか教授になるとか学歴マウンティングしたいのでなければ、出身大学は重要ではない。むしろ職場の医療圏に近い大学である方が重要)
 3-3. 親としては自分と同じ大学ならとりあえずOKかな、大学の人も事情もよくわかってるし。出身校(三流私大)なら公式に子弟枠でなくてもちょっとばかりおまけしてくれるし(多分)
4. 稀に、鳶が鷹を産む(親三流私大、子東大医学部みたいな)こともあるけど、現実には親国公立大、子三流私大というパターンが多いみたい。
 4-1. 代々医者家系とかでなく突然変異的に頭が良い人が国公立大を出て医者になるけど、その子供は案外普通のことが多く、それで入れる医学部となると私立がやっと
 4-2. 普通の看護師(=母)と結婚することで、医者父の高知能遺伝子が中和されたりして
 4-3. 両親東大医学部出っていう人は知らないけど、両親三流私大出医者程度では子供はそれほど優秀でもない、ことはなんとなくわかる

子供が本当に優秀なら勝手にさせとくのが一番で(医者より能力を発揮できる仕事はいくらでもある)、それほどでもなければ医者にしとけば失敗が少ない、ってとこか。