しがない内科医の雑念

底辺医がなんか語っとる

ステルス減給

ステルス値上げとは、値段そのままでこっそり内容量を減らすことによる実質的な値上げ。消費者に対するインパクトは小さめだけど、どこかメーカーの後ろめたさを感じて取れる、セコいやり方に見える。
病院も、大学や公立病院は特に、以前は黙認?だった研究日と称する外勤日が週1日から半日に減り、それも登録制(個人の行動を病院が把握する)になり、さらには隔週だとか、有給を使って行けと言い出す始末。
#細かい病院の経験。平日仕事後に研究会出席申請をしたら「この予定ですと定時に退勤してからだと間に合いませんよね?15分でも早退するならその申請もしてください。尚有給を使用します」だと。こういう細かいダメージが医者のやる気を無くさせ、使命感ややりがいより楽して金儲けしか考えなくさせる──今時の若者は最初からそうだけど。高偏差値=医学部って入ると、そうなる。

仕事の有無に関係なく、病院は医者を合法的により長時間拘束しようとするけど、もちろん給料は据え置き(全職員と同様の昇給のみ)。これは、同じことをしてても実質的に減収ないし休みが減ることになる。ステルス減給。
自分のように大学やら研究やら専門性やら地域(救急)医療から逃げた身からすると、そういうことを重要と思う医者が一定数いてくれることはありがたい。みんなが自分や若い医者みたく、仕事内容より高時給とか貯蓄して人生逃げ切りとか考えたら日本の医療は崩壊するし(それはそれで無駄がなくなる良い機会ではある)、ただでさえバイト市場は厳しくなりつつあるのに、さらに医者どうしの潰し合いになる。
幸い、医者はワーカホリックで上昇志向(加えてプライド・自己顕示欲が強い)の人が多いから、大学を頂点としたヒエラルキーと、ひいては日本の医療体制が崩れることはしばらくはなさそう。医療費全体が増えない限り、厚労省も現状維持に協力的だろう。一方底辺医は金と引き換えにプライドを捨てて、つまらん健診や汚い家に往診なんかのバイトでもしてます。