しがない内科医の雑念

底辺医がなんか語っとる

俺は正しい先生

医者はその役割を遂行するための全体的知識と手技と国家資格とレア度のために、研修終了後くらいからは医療現場において指揮者として振る舞うので、自分が偉いと勘違いする者が多い。
一つには、その結果自分は社会規範に従わなくてもいいと思っている者がいる。実際には、おかしいと思っても上司以外誰も注意しないだけだ。遅刻(やむを得ない場合は除くが、道が混んでるからと毎日遅刻とか、用事があったとか、一般的には許容されないであろう理由で慢性的に遅刻する者がいる)、ちゃんと挨拶をしない(自分だが)、だらしない格好、敬語を使わない(場合による)、片付けをしない(家でもそうなんだろうが)・物品を持ってって返さない、字が汚くて読めない等、これらは他職種であれば許されないので、やはりそういうことはすべきではない。
さらには自分のやり方こそが正しいと確信している者が多い。単に研修時の先輩の真似だったり、大学の所属医局や病院の所属科の構成員の多くがやっているという慣習で、客観的試験・評価はなされてない事なんだけど、慣れ親しみ身に付いたやり方にこだわってしまう。若くても一応一人前になると、むしろそういう若手こそ、そういう慣習にこだわる。例えば、直腸診をしてから虫垂炎疑いをコンサルトしないと怒る外科医とか(指を突っ込んだかどうかが重要で、その結果は特に聞かれない。内科医にアッペがわかるもんかというプライド)、正しい撮り方もわからないし撮ったところで他科医では診断もできないのにレントゲンを撮ってから骨折疑いをコンサルトしないと怒る整形外科医とか(撮り方の文句から始まり、結局撮り直す)、動悸は循環器内科(が対応する症状)じゃないとか、誤嚥性肺炎は呼吸器内科疾患じゃないとか(これはちょっとわかる)、MRI脳梗塞を否定してからでないと内科からのめまい患者を診ない耳鼻科医とか(MRIはいつでもすぐに撮れるわけでもない)、ヨード染色できないなら食道病変は一切診れないと言う内視鏡医とか、ラゲブリオを処方できならコロナ患者は診れないと言う一般内科医とか。あとマルクやってフローサイトメトリーも出して診断が付いた血液疾患患者しか受けない血液内科医というのもいたが、あれはそういう検査ができる仲間が欲しかったのか?
上記全て自分が直接経験したことだけど、挙げればキリがない。これらは自分のやり方にこだわるというよりも屁理屈図鑑、患者対応をしたくなくて必死に逃げようとしているだけなんだろうが、ともかく上から目線で理不尽に怒る医者が多いことは納得していただけよう。
もちろん医療上の判断でエビデンスがあるのはごく一部で、他は論理的推測や経験に頼るしかないけど、全体的に経験論で固まってゆくと、新しいやり方に馴染めず最新研究結果などを毛嫌いするありがちな老害・ジジ医になる。
エビデンスにこだわりすぎても、昔ネットによく居たソース厨みたく、自分で判断できない頭の悪さを感じる。
自分のやり方は信頼している一方で常に疑ってより正しいやり方を模索し続ける謙虚さとか、他人のやり方も受け入れて吟味する度量がないと上記いずれかに陥る。
(自分のように特別な能力もなくたいして働いてもない奴に言われたかなかろうが)