しがない内科医の雑念

底辺医がなんか語っとる

オンライン学会、Web開催の是非

去年は中止だの延期してようやくウェブ開催だのしてて、今年はリアル学会可能かと思ったらやっぱり春になるとコロナ患者が増えてウェブのみかハイブリッドってことになった。
小さな研究会はオンラインのメリットが大きい。平日仕事終わってから行くのが大変、終わってから帰ると22時、懇親会に出ちゃうと23時近くなったりして、それなら普通に帰って家で動画見るだけで情報が得られるのは良い。ただ後述するオンラインのデメリットも当然ある。安く集客できるせいか製薬会社各社、地域ごとのウェブ開催研究会を頻発してて、全部出ると毎週になってしまうくらい(当然ほとんど参加しないけど)。
オンライン学会のデメリットは以下
1.毎年の総会は堂々と仕事を休んで地方に旅行できる良い機会だった。当方は首都圏なので、地方の人からすると東京横浜旅行か。会場は首都圏と地方を交互、ってのが多そうだけど。あんまり大きな学会は会場が限られ(およそ東京・横浜・京都・神戸。次に札幌、大阪、福岡)、例えば内科総会なんかは毎回東京国際フォーラムだけど、あれはあの規模のハコが地方に無いからなのか、敢えて毎回首都にしているのか。
2 .オンライン参加だったら出張無しで仕事できるでしょと、休みがもらえない・取りづらい。すると結局金払ってポイント貰うだけか、仕事の合間やプライベートの時間に動画を見ることになって、集中できないし、自分の時間が取られる。
3 .年1回の学会でしか会わない人がいる。そこで最近どうですか?っていう立ち話ないし飲み会の付き合いができないと、それくらいの距離の人間関係の人と疎遠になってしまう。その機会がなくなってしまった。
4 .一部のコアな参加者を除き、大多数にとって年次総会参加≒専門医維持のためのポイント稼ぎ(と軽い知識のupdate)であって、多くの学会で、毎回行きさえすれば専門医を維持できるようになっている(プラス症例提示やら問題集やらもあったりするけど)。リアルは単純に、その場に行って金払えば参加完了だったのに、オンラインでは一定時間以上動画を流せとか(内科学会総会のライブ配信5時間という拷問)、参加判定が面倒なことがある。まだ今年あたりは多くの学会で金払ってログインすれば参加完了で、安くポイント稼ぎしやすい状況だけど、そのうち何時間動画を見て問題に正解しろとか言ってきそうだ。
アーカイブ/オンデマンド配信は、こちらの都合で再生できるからまだ良心的だ。ライブのみって言われると、その時間は仕事を休んで一人になれるネット環境が必要になるので、リアル学会参加に近い準備が必要になる。
5 .動画を見るのがしんどいというか無駄が多い。今時Youtubeだって2倍速で見るでしょ?せっかく動画にしたんだから、だらだら1時間も喋るのを聞かなくても、2倍で再生させてくれよ、内容はわかるから。あと大体1講演1時間だから余計なことを色々話すけど、臨床的に重要なことだけに絞って30分くらいにすべきでしょう。
6 .演者はYoutuberをさせられているようなもので、相手がいないところで延々と独り言を喋り続ける。慣れてない。そしてそれを見てるのがきつい。音楽じゃないけど観客の反応の無さ、さらには質問のしにくさもある。このような機会を与えてくださり云々、会長のXX先生への謝辞、とかいらんから。自分で紹介する略歴もな。
7 .結局動画や、スライド+音声を配信するだけなら年に3日間くらいの年次総会みたいな形をとる必要ないんじゃない?内科地方会みたく、毎月開催する方が継続的に参加しやすいし、研究成果も揃ったタイミングで出しやすいってことに。

もちろんオンラインは、移動しなくていいからライブ配信のみでも視聴しやすいし、一番簡単に参加ポイントを得られる。現地施設費用がかからない分、参加費を安くしてもらいたいものだ(絶対に下げないだろうけど)。学会側としては、なるべく高い[年会費+年次総会参加費]を取りたいだろうから、総会をやめてオンライン月次発表会のみ、にはしないだろうね。

#数年前までは年会費も参加費も1万円程度だったのに、海外の学会が高いものだから(それはほぼ大学・病院・研究室が払っているからで、自腹なんて日本人くらいだが)、国内の学会もこぞって1.5〜2万円になってしまった。