しがない内科医の雑念

底辺医がなんか語っとる

開業医は昼の接客業

近年クリニックは飽和してる。都内はすべての駅前に内科クリニックが複数ある(想像)。けれども、大学に居られなくなったけど勤務医はやれない人、もしくは既に勤務医だけど他人に従うのが嫌になった人は、開業せざるを得ない。
当然どこも生き残りに必死である。だが新規開業医のすべてが、必死というほど何か特別なことをしているようにも見えない。上記のように潰しのきかない医者とは違い、一部の他人よりうまくやれる自信がある医者は、うまいことやるかもしれない。といっても、ニンニクやらビタミン注射とかプラセンタとか健康食品を売り始めたらもう外道である。それは正当な頑張りではない。詐欺師の範疇である。

開業後、多くは継続できてるけど、儲かってるかどうかは知らない。たま~に閉店したという話を聞くけど、そういう人は人生ゲームでいうところの貧乏農場(今は開拓地という)みたいな病院で働いて借金を返しているのだろうか。そんなんだったら、リスク取らずにそこそこで勤務医でいいやって感じの私のぬるま湯人生。

ところで学校の教育理念と同様、クリニックや病院の理念てのも必ず書いてあるけど意味はない。とんがった学校やクリニックは面白いこと書いてるかもしれないけど、一般人はそんなとこ入りたくもかかりたくもないだろう。政治政党や立候補者の公約・理念・政策も同様で、大抵は万人向けで当たり障り・差し障りなく聞こえの良いことしか書いてないが、これについては明確にわかるとんがった立候補者が結構いるので(伝統的に都知事選に多い)楽しめる。

クリニックの理念を意訳すると

患者さんの立場に立った/寄り添う/患者さん中心の医療
→客は大事にしますよ(商売第一)

地域に根ざした、気軽に相談できる
→近所の人はとにかく来てよ、治せなくても受診料は取れるから

地域のみなさまに信頼されるかかりつけ医として
→(信頼するかどうか決めるのは患者なんだけどね)

本当にどこのウェブサイトも同じようなことを書いてる。安心したい患者からすると、想像通りの当たり前のことが書いてあるのを確認して安心するんだろう。よくわからなくて怖い本当のこと(例えばEBM)よりも、即効性のある安心を買いたい、それが人間の本能。そんな素直な欲望に対応するのが開業医。だから花粉症にセレスタミン。風邪にステロイド、いくらでも抗菌薬出す。眠れない不安な老人はデパス漬け。何より安心トーク「大丈夫ですよ(大丈夫じゃないときはうちに来ないか即座に送る)」
もはや、新しい科学知識に基づいた医療提供者というよりも”昼の接客業”と言った方が的確だろう。もしくは単なる御用聞きか。