しがない内科医の雑念

底辺医がなんか語っとる

内科医の行きつくところ

これまで専門性を追求して大学や大病院でやってた人がなんで開業した途端それを捨ててただの内科医(元外科系で、なんちゃっても多い)になったり、勤務医でもプライドを捨てたような何でも内科とか老人病院になっちゃうのか、ということは、自分が就職活動してみるとわかる。専門性を維持したまま望む条件の就職先に入るのは、よっぽどでないと難しい。よっぽどとは、元大学教授とかそういったその分野で頂点に近いネームバリューがあって、それだけで集客できるような看板になりうるということ。臨床の実力なんて関係無い。そんなの客観的に計れないし、他科ましてや一般人からは全く判定できない。テレビに出たから有名な良い先生、そんなレベル。
そうでない人に求められるのは何でもやるということ。開業ならとにかく競合相手のいない地域で、敷居を低くしてその地域の人が気軽に受診できるようにすること。およその損益分岐点である外来患者数1日20人(程度)以上を維持するには患者を選んでいられない(と、開業セミナーで言ってた)。勤務医なら、内科でいうと、内科全般+専門(できれば内視鏡)がやれて、外来さばきつつ救急対応・当直・残業・呼び出しOKなら引く手あまただが、こんな条件受けちゃうと、職場によっては(特に地方)どんだけきつくなるか想像つかない。もちろんあなたが週1当直で毎日22時くらいには帰宅できてまぁだいたい日曜くらいは休めればいいや、っていう理想的内科医であれば日本中どこでも就職できるし歓迎されどうかずっと居てくださいと言われるだろう(性格に問題が無ければ)――この理想って誰の理想だろう?この医者を利用する人間の理想でしかない。こういった、医者は常に患者に尽くす働き者であるべし、という価値観を信じない者からすると、少々カネ貰ったところでこんなの奴隷にしか見えない。
ということで、当直NG呼び出しNG定時帰宅厳守なんて条件付けると内科医の就職先はかなり限られる。そういう条件の求人は実に少ない。つまり内科医は、例えば欧米並みの、もしくは今の日本でいうと比較的楽な部類の職業くらいに、つまり”普通”に仕事するのって難しいんだなと思った。基本ブラック、内科なんて出版業界に近いレベルなのかな。