しがない内科医の雑念

底辺医がなんか語っとる

目指すはつぶクリ院長か有名病院部長か

40代も半ばになると同期で開業しているのが珍しくない。雇われ院長が多いみたいで、コンサルト会社は使うけど企画から自分で、ってのは少ない気がする。

40代半ば、卒後20年程度っていうと一般的には遅いくらいかもしれないが、マイナー科だと卒後5年で開業した人もいて、大丈夫かと思うが、患者は医者の実力などわからない。科ごとに一人前になるまでの期間は異なる。医者の実力なんて、同業者(同じ科)でないとわからない。内科だったら最低10年てとこか。で、その後10年でどう変わるかだが、自分の場合は少しずつ経験を積んで全体像が見えてきた、と言うと聞こえは良いが、つまりあまり進歩しなくて、むしろ他科の知識や手技は落ちる一方で、今後臨床だろうが研究だろうが実力が上がる気が全然しない。やる気がなくなって、これからは落ちる一方だ。そんなんで急性期病院で専門性とかいって専門科の業界で大学の人たちと互角にやってける、わけがないし、急性期病院の義務すらきつくなってきた。

となると安易に開業も考えるが、リスクは負いたくない。すっかりサラリーマン根性が染みついて冒険できない。さらには開業すると経営者だから医学的に云々はさておきまず儲かるために何をするかってことが一番重要になる。クリニックが潰れたら医療行為ができないのだから話にならない。ようは、クリニックの院長が(病院でも同じだが)いかに患者さんのために、なんて言っても、本当はもっと大事なのは儲かることなんだ。いや儲かるためにあえてそれは隠して「あなたのため」アピールするのが正当な行動であるとも言える―何をいまさら、10代の子供のような安っぽい正論言ってんだ。でも、ホームページで顔出ししてステレオタイプな美辞麗句の建前を臆面もなく書いてんの見ると、こうはなりたくないなという感覚が発生する。この感覚は無視し、この「顔出し建前」に耐えられた者だけが院長として大儲けできるのか。政治家なんてその最たるものだが。

実際のところクリニック臨床で、最もストイックに医学的正しさを追及し「風邪なんだから薬なんていりませんよ、むしろ受診せずに休んでろ」なんて言ったら商売にならない。それで『これは正直な良い先生だ』ってほど患者はMでも頭が良くもない。では患者第一とかいって実は患者の言いなりの御用聞きで、欲しいと言われれば風邪に抗菌薬だろうがツロブテなんとかだろうが出しちゃうのは、儲け第一で頻繁に無駄な検査をして病気増やして薬出して患者を繋ぎ止めるのと同レベル。やっぱり”正しい医療”と商売は完全には両立しないと思う。とか言ってる時点でやっぱり開業には向かない気がする。