しがない内科医の雑念

底辺医がなんか語っとる

患者は間違いやすい

・本(もしくはインターネット)で症状を調べたらぴったりなので、私は**病だと思います
・いつもの薬はコロナに良くないって聞いたんで、自分の判断でやめました
・骨に良いって新聞に書いてあったのでこのサプリ(なんかの菌製剤)を飲んでます。先生の出してる骨の薬と一緒に飲んで大丈夫ですか?
・近所の薬局の人に聞いたら、コロナワクチンを打って調子悪くなった人が何人もいると教えてくれたのでワクチンは打ちません

こういう理解の高齢者は結構いる。中年くらいの人でもたまにいる。情報リテラシーが低めの人。明確に低い(知能障害、認知症)わけではない。

どうして素人はこうも見事に判断を誤るのか。言い換えれば情報リテラシーが低いのか。この人たちを低いというのは、自分が高い(もしくは普通)と思っているからで、思い上がりかもしれないが、医者としては健康及び病気に関する情報リテラシーは一般より高めと考えてもいいだろう。

さらにこういう人たちは、こちらが間違いを指摘しても訂正しないことが多い。私はこう思う、信じている、納得してやっているからいいでしょ、とくる。例えば金儲け(投資)ならば判断の結果は損か得のどちらかだからわかりやすいけど、薬や健康については、降圧薬やらワクチンの有無で予後に違いが出るのはだいぶ先で(ワクチンは数ヶ月以内かも)、しかも自分は一人なので介入の有無で比較できないから、たぶん一生間違いに気づかない。
ただし、現在の医学知識をゴールドスタンダードとしても、数十年経つとそれが変わったりするから、こういう人たちの判断を間違いだっていうのは、案外難しいかもしれない。ただ上の話みたいな素人判断はおそらく間違っていると、かなりの確信を持って言える。

逆に自分は投資のプロからすれば投資リテラシーは低いだろう。だから個別株に手を出して失敗する。自分は銘柄を選択できると思っている。人の言いなりで損するのは納得できないが、自分の判断だったら仕方ないと思えるし、自分の判断が正しいかどうか試したい。
彼らも同じである。ただ、自分は投資については自分の判断よりも信頼できる投資のプロの言うことに従うけど(そういう人がいればだが)、彼らは情報リテラシーが低いので、医者と近所の人の話と健康食品メーカーの宣伝と雑誌の記事に信頼性のに重み付けができなくて、後者を信じて間違えて、それでも気付かない。