しがない内科医の雑念

底辺医がなんか語っとる

医者は努力か才能か

以前も書いたが医者は専門職で転職しやすく高給取りなため、個人の適性(仕事内容との相性)に関係なく人気のようだけど、資格さえあれば食ってけるというものではない(そもそも資格だけで食える職なんてほとんど無いだろう。そう思っている人は資格商法の餌食)。教科書をたくさん読んで暗記したからって、医師免許とっていきなり外来や処置・手術ができる訳がない。
資格が必要という意味では医師はいわゆる士業(しぎょう、さむらいぎょう)に近いところもあるけど、彼らの知識の基礎は法であってそれは基本的に不変で、ちょっとした改正だけ気にしてればいいのに対し、医者は常に大幅に更新される医学知識が必要な分、より面倒だろう。もしくは興味が必要。
尚、医者になるにはただ受験に受かればいいだけなので、才能なんていらない。頭が悪くても、って言ってもまぁ普通の人なら、うまく導いてくれる塾か何か行けば、なんとかなるレベルじゃないの?

ある人が、楽器の演奏と寿司職人は年単位の練習が必要で、天才でもいきなりできるわけじゃないって言ってた。運動は、大して練習してない天才がいきなり活躍っていうのがありうる。もちろん一流になるにはそれなりの練習はするだろうが。
楽器と寿司みたいに練習量と結果がおよそ比例するものは努力型行為、スポーツのように(あまり)比例しないのを才能型行為とする。ただし才能型行為でも全然練習がいらないわけじゃないし、努力型行為でも、少ない練習ですごく上手くなる人もいる。才能は万能な言葉だ。

医療は努力型行為である。
手術の才能っていうのは、自分は内科なのでわからない。ただ、外科系で才能のない人っていうのはたまにいるけど、他は普通に仕事を続けていれば信頼されるようになるので、やっぱり努力型でしょう。天才外科医っていうのは自己アピールが上手いだけか、稀にしかいなくて滅多に遭遇しないから考えるだけ無駄か。単にみんなが求める虚像かな。
内科の診断能力とか研究能力っていうのも、才能というよりも、それが好きで続ける能力とか真面目な性格かどうかによるので、努力次第である。
医者は、才能がなくて勝てないから引退なんてことはなくて、ただちょっと勉強しつつ普通に仕事をしてれば続けられるので、そういう意味では安定な職業である。
ただほぼサービス業なので、奉仕的精神が少しはないと、苦痛でしかない。それは若干の才能と言えるかもしれない。