しがない内科医の雑念

底辺医がなんか語っとる

素人の的外れコメントの濶歩・跋扈

胃潰瘍の治療薬「ニザチジン」に発がん性物質…一部を自主回収(読売新聞オンライン 12/3(火) 19:19配信)

コメントを見ると、ほとんどが的外れな批判で、例えば私がガンになったのはこの薬を飲んでたせいだとか、発がん性物質なんだから健康被害が無いってことないだろとか。一般大衆は専門知識も科学的思考回路も持ち合わせてないのでニュースをそのままとらえて小学生並みの判断力で良い悪い言ったりするけど、そういうのを外来でぶつけられてもたまらんな。
自分はわりとよく処方を見直す(≒コロコロ変えたがる)ので、「先生がクスリ変えてから調子悪い」などと自分が出した薬で副作用が出たと言われることもわりとある。いきなり喧嘩腰は稀だけど。多くは、どう考えても因果関係のなさそうなものか(例えば降圧薬出したら指の1か所が痛くなったとか)、一過性のかゆみみたいなあらゆる薬にありうる副作用で(能書に書いてあるでドヤって言ってくる)、その場合、おそらく関係無いけど不安に思いながら飲むくらいなら変えますよなどと言う。すなわち、どちらでもいいよっていう立場。因果関係がありうる副作用の場合、すいませんねー合わなかったみたいですね程度には言うけど謝罪っていう意識はないし、むしろ、普通は問題ないけど副作用が出るあなたが異常体質なんだくらい言いそうな勢いだが、火に油を注ぐ結果になるのが目に見えてるのでもちろん言わない。あなた合ってるかどうか、事前にわかるというのは(現段階ではほぼ)ほぼオカルトの領域なので、こちらで提供している医療(医学)の領分を超えたオファーには対応できぬ。(注・カルバマゼピン他ごく一部の薬は遺伝子的に副作用が出やすい人がわかってるけど全員調べてから処方するまではいってないと思う)

尚これはアシノンだが、ちょっと前にはザンタック(ラニチジン)が同様の問題になっており、そちらはそれほど報道されなかったような。