しがない内科医の雑念

底辺医がなんか語っとる

医局を辞めるタイミング2

教授が変わるときが辞めどき
新教授が就任すると大抵、ご祝儀相場というか、入局者が増えるもので、そこで入った人は教授とは長い付き合いになる。教授もローンチカスタマー(就任時入局者)は大事にするもので(そもそもその新教授が信頼できると思ったから入局するんだろうが)、そこで齟齬が生じることはあまり無かろうが、問題は先住民との関係である。教授からすると老犬は懐かないし、先住民は外から来た王様を認めたくなかろう。
自分は成熟した(?)医局に入ったもんだからすぐ、数年もすると教授が退官して、そしたら全く知らない新教授が来て、冷遇というほどじゃないけど厚遇もされず、人が増えた&時期だからと出向命令、しかも新規開拓の悪条件の地方ということなので丁重にお断りするとありがたくイエローカードを頂き、とりあえず近くに出向したけど慣れた頃に今度は大学の人出が足りなくなったから戻れとのことで、もう1年だけ居させて下さいと言ったところレッドカードで気がつけば医局フリー。現在まで大学に戻りたい気持ちはないので(戻ってたらまた違う人生だっただろうが)、自分も彼も悪くないし被害者もいない。単に医局(人事)とはそういうもので、従うものだけが残る。
このように気がつけば医局フリー(というかやんわりクビ)というパターンが案外多いのではないか。喧嘩別れっていう人も昔はいたけど、いまどき喧嘩するほど元気な医局員も、絶対服従を強要する教授も少ない。そういう時代じゃない。また狭い世界なので学会等で会う機会もあろうから(特にマイナー科・分野)、円満退社が望ましい。
積極的に出てくなら教授退官のタイミングが一番無難。この機会に以前からしたかったこと(開業とか、高収入の市中病院とか地元に戻るとか)をしますと言えば、いや君は残りなさい(私は辞めるが)とは、教授も流石に言いにくかろう。下手に残ってると、教授不在の間の雑用をやらされる上に、新教授が来てバタバタして落ち着いたと思ったら「君は出向ね」と即切り捨てとかありうる。新教授に気に入られて現ポスト維持ないし昇進できるという自信がない限り、教授交代時に医局にはいない方がいい。

辞めた後
首都圏であれば医局フリーどころか非常勤(フリーター)でも全然やってけるので、そういうところ、医者の働き方は自由だなと思う。懸念は
・今後もパート案件が豊富にあるか(若い子は医者で一人ならバイトで食ってくのは余裕ととっくに気づいているので、そういう人と仕事の取り合いになる・実際コロナで切られたパートも多い)
・中高年になってから毎回違う遠い・慣れない職場はきつい(定期非常勤掛け持ちならまだしも、毎日ネットでスポットを決めるのを何年もやるのは考えづらい)
・家庭持ちでもフリーターでいいか(不安定だしローンも組めない。子供の進学やら何やらで父親がフリーターは格好悪い)
・総合病院の常勤でないと、一定の専門性を維持しづらい(専門なんていらない・そもそもない・カネさえ貰えればどんなつまらん仕事でもいいというなら話は別)
など。
自分についてはもちろん後悔はないし、自然な流れに従っててこうなっているし、これがしたい!ということもないので、今後も流れに身を任せるクラゲ医として生きてゆくだろう。