しがない内科医の雑念

底辺医がなんか語っとる

病院興亡史。もしくは医療よりも政治力

500床クラス以上の中~大病院にいると院内政治というものが発生する。日本人的に、何かをするには上の許可が必要で、上へ行くほど思考が合理的でなくなり、前時代の経験を基にその時の気分で判断するようになる。意思を実行するには、早く多くの正確な情報(典型的には誰それの失敗とか、仲違いとか)を得ることや、根回しが必要になってくる。無駄な会議はそのような組織運営において、ヒエラルキー確認が主な存在意義であり、そこで存在感を示すことが政治上重要であり、そこで怒られたりするのは大変なマイナスポイントとなる。
まったくもって、古い大企業と同じ体質で、その中で個人の実力なんてわかりにくいから、病院の看板と地位で自分が格付けされるわけで、それが少なくとも国内の業界内では通用するということになっている。でも薄々、組織から出たらその神通力が無くなるであろう、一般病院に出たら患者のえり好みなんてできず泥臭い臨床をやらされるのがわかっているから、組織にしがみついて地位を上げることが至上命題となる。そういった組織は大抵問題だらけなのだが、辞める覚悟がないと改革なんてできない。で、そういう人は大抵排除されちゃうから、残っているのは上の顔色を窺ってうまく立ち回ろうとする人ばっかりになり、腐ってゆく。病院の立地条件が良ければそれでもなんとか継続可能だが、患者減か、利潤追求で救急依存になったりすると現場の疲弊により辞職者が続出して運営が成り立たなくなり、一旦ゼロになって再スタートする(いわゆる”更地に戻る”)ことになる。そして最初は医師を優遇するような運営をしているんだけど、また回復してくるとすぐ愚鈍な院長以下をダメ幹部が固め、同様のことが繰り返される。