しがない内科医の雑念

底辺医がなんか語っとる

グラムいくらの肉vs時間いくらの医者

10年目くらいの医者でそこそこ専門医とか取ったら市中病院辞めてフリーになって、年収は自分の倍近い(税金はもっと引かれるが)のとか聞くと、こうして時間の切り売り的日当直をしているのがばかばかしくなる。カネだけじゃない、拘束時間が長くて常勤だからとコキ使われ有能でもない上司にぺこぺこするのは人生の正しい使い方だろうか?と思う。
大学医局の人はより難しいかもしれない。せめて出向の希望を出してそこそこヌルいところに医局派遣だぞって顔して居座るのがせいぜいか。医局所属じゃないとそのへんはある程度動きやすいけど、それでも簡単に辞めるには抵抗があるし、あまり近くじゃ仕事しづらい。医局の後ろ盾がないと、異動してもすぐクビとか、そうでなくとも条件キツくしてって嫌ならやめろっていうのはよくありそう。
拘束時間や日当直は医者、特に内科医にとっては義務と思ってたし、地方じゃ医者がいないからそうしないと成り立たないんだろうけど、50歳近くなってくるといろいろ考えてしまう。首都圏ならちょっと郊外に出れば職場はいくらでもありそうだし、なんとかなりそうな気もするが(都内は医者余りかつ都内の医局に占拠されてそうで、飛び込みづらいか)。
緊急手術のたびに呼び出される外科はもっと大変だろうね、開業する以外に、どうすんだろうと思う。そもそもそれが嫌なら外科医になってないのか。

最近は医者の転職サイトやブローカーもいっぱいあるから本気ならすぐ利用するけど、中~大病院勤務はサラリーマン的気楽さもある。経営が悪化してあれこれ言われても給料は減らないし、病気なら堂々と休めるし、とりあえずの義務だけやっとけばクビにはならず、仲間(といっても職場が変われば連絡取らない程度の)も多いからなんとなくその日さえしのげば安定した生活を継続できる。が、そこへ付けこんで真綿で首を絞めるように仕事を増やされ、大きなきっかけがない限り辞めづらい。辞めづらいと思っているのは自分だから、自己管理して納得できなきゃ辞めればいいだけなんだけれども、しっかり飼いならされサラリーマン根性が植え込まれた医者は「この牧場から逃げ出したら生きてゆけない」と思ってしまう。社畜医とでも言うか。根は真面目だから、お医者様~って持ち上げてそこそこ給料やれば、定年までブルーカラー労働を続ける。働きが悪ければ、医者はプライドが高いおぼっちゃんが多いから叱責するか窓際にすれば自分から辞めてゆく。能力は低いけど鈍感力が強い奴は残るけどね(能力がそこそこあって鈍感力が高い奴は出世する)。