しがない内科医の雑念

底辺医がなんか語っとる

教授は隠れて英会話に通ってる説

日本語を喋れない人ってわりと来るけど多くは建築会社の健診で出稼ぎ(って今は言わないのかな?)のカンボジアインドネシア人あたりで、そもそも双方あまり会話しようとは思ってないので、そのままなんとなく診察するか、建築会社の元締めみたいな人が付いて来る。
入職時健診で来た人が日本語全く喋れなくてスマホで会話してます、ナニジンかわからないけど黒い人です、って言うので、う〜んアフリカ語って誰もわかんないよなーと思ったら職業:英語教師だと。
なーんだ英語なんてスマホで翻訳するまでもないでしょ、と思ったけどよく考えたら自分は英会話ほぼできなかった。英語で論文の読み書きとかしてたけど、話す経験ってほぼ無いから喋れなくて当然と開き直りたくもなる。健診だから、既往は?今何か症状ある?聴診します→診察上は問題ないです、くらいしか喋ることないから、非常〜に辿々(たどたど)しい英語でなんとかなったけど。
医者でも他職種でも、数十人に一人くらいは帰国子女だとか何だかで流暢に英語を喋れる人がいて、外人が来たら大抵そういう人に任せるんだけど、いなければ自分で対応するしかない。
それにしても医者でマトモに英語喋れない人の方が多いって、日本くらいかなと思う。あとは中国?韓国や台湾人は上手そう。他のアジアの国は、自国語の医学の教科書がなくて英語の教科書で教育してて英語も上手っていうパターン?(馬鹿にしすぎか) ヨーロッパならやはりフランス人か(観光程度しか行ってないけどフランス人はほんと英語喋ろうとしない。けど医者なら英語くらい話せるだろう)。
不思議なのは日本の国際学会とか外人の講演で、各科の教授がわりと普通に英語で議論してること。留学経験はあろうがそんなの何十年前で、研究で論文読み書きはするだろうけど、別に外国人留学生が来るわけでもなくて(いつしか日本にはあまり来なくなった)、英語で会話する機会なんてそう無いのになんで英会話能力が保たれてるのだろう?隠れて英会話にでも行ってるのだろうか。

プレイヤーにマネジメントさせる

施設が赤字なもんで、定期的に上から「売り上げが悪い、なんとかしろ」って圧力が来るんだけど、いち内科医が何かして売り上げって上がるものかいなと思う。アイデアを出せって言われても?こういうのは総合病院にいた時からあったので、どこでもあることだろう。総合病院では各科のボスが売り上げ向上策をプレゼンさせられたりしてたけど、そんなんで変わるわけなくて、結局大きな流れに揉まれてるだけのような感覚だった。輪番日を増やすとか受け入れ要請を断らないとかバイト医者を減らすとかの方策で下っ端勤務医のストレスだけは確実に増えたけど、どの程度売り上げに貢献したんだろう?ほとんどの病院は経営の素人がやってるから、何かやって満足して終わりでフィードバックはまずない。

現在の施設では診療時間延長とか訪問診療を始めるとか言ってるけど、前者は一定数以上の患者が来ないと施設を開けとくだけコストかかるし(まさかサビ残?→医者のみ時間外つかない予定とのこと!)、後者は近隣で何件もの訪問診療専門クリニックがシノギを削っている中で新規参入して患者を確保するのは困難だし医者1〜2人で24時間365日対応できるわけないので(そもそも自分は定時以外は対応する気がない)、そのへんアウトソーシングしたらペイしないでしょう、たぶん(試算もないので)。
慢性的に赤字ってことは、すぐ改善できる1カ所か数箇所の問題っていうよりもシステム全体の不全ってことだから、施設の規模とか診療内容全体から考えてゆかないと変わらないだろう。手を広げてうまくいくわけないので、規模縮小ってことだね。
当院の幹部もやはり経営の素人なんでそういう人たちの思いつきでうまくいくわけない。健全経営の他院を参考にするとかコンサルを入れるとかしないと。コンサルの無責任な助言が役立てばラッキーってとこか。
高齢者が増え患者が増えるにしても、日本政府は医療費を抑える方向に動いてるので、医療機関の経営も医者の給料も厳しくなる一方だろう。薄利多売で現状維持か。医者は歯医者さんに近づいてゆく。

コロナ4月以降

コロナ推移

 

またピークアウトした(画像)。

コロナの公費支援が3月末ですべて打ち切られ、4月からは通常の1〜3割の自己負担が生じる件について。昨日からニュースでやってたけど、主に上記自己負担と「広く一般的な医療機関で対応するようになる」っていうのを強調している印象。
実際、
厚労省 事務連絡 令和6年3月5日https://www.mhlw.go.jp/content/001219079.pdf
>外来医療体制については、患者が幅広い医療機関で受診できるようにするため、位置づけ変更以後、外来診療にあたる医療機関での感染対策の見直し、設備整備等への支援、応招義務の整理、医療機関向け啓発資材の作成・普及を行い、本年4月以降を見据え、感染対策の強化を図ってきた。
都道府県においては、本年4月以降は広く一般的な医療機関で新型コロナの診療に対応する通常の医療提供体制に移行するよう、着実に進めていただきたい。

 

どこでも診ろよ!みたいな感じだけど、コロナが弱毒化したという明確な証拠はなくて、ここ4年ほどのワクチンと治療薬によって重症化リスクが減っただけだろう。感染力は下がってないから外来では感染防御策はしっかりやらなくちゃいけなくて、それには引き続き手間と金と時間がかかるのだが、政府と一般人的には「いいからすぐ診ろよ」って感じで、でも失敗は許さず(院内感染は病院が悪い!)、医療機関が割を食う流れがキツめではある。

確定申告した

参考:確定申告しました? - しがない内科医の雑念

 

今年からふとe-Taxにしてみたので。
(もちろんだけど自分は税金関係全く詳しくないのでその程度の内容とご了承ください)

確定申告はウェブサイトから次のいずれかを行う
1) 国税庁確定申告書作成コーナーで作成(基本的に書類を手入力(注))して印刷・郵送
2) e-Tax:PCかスマホを用いて作成コーナーで作成、スマホマイナンバーカードで認証しネットで完結(申請)
 2-1) 書類は手入力(スマホなら源泉徴収票の撮影・自動入力も可能)
 2-2) スマホのマイナポータルアプリとe-私書箱サイトを経由(要・事前準備)して、ふるさと納税や生命保険やiDeCoのデータをe-Taxに送る(うまくすると書類不要で全てのデータをネットから取れるかもしれない。大企業ならe-私書箱と連携して源泉徴収票も取れるだろうけど小規模医療施設は当然できない)
(注)…ふるさと納税のデータはサイトからPCにダウンロードして添付できる。これで何十件も入力する必要はなくなる(現在は受領証明書を貼り付ける必要なし)

これまで10数年間、1)でやってた。カードリーダーが無い場合、e-Taxスマホのみでやるものと思ってたけど、PCでやれるのでやってみた(スマホの小さい画面であれこれやるのはきついので)。
嫌というほど何度も、スマホのマイナポータルアプリでマイナンバーカードを読むことになる。

基本的にはe-Taxでもこれまでと同じような作成コーナーで入力してゆくので戸惑いはない。
ただし2-2)の場合は事前に企業等(例えばふるさと納税や生命保険やiDeCo)とe-私書箱連携をしておく必要がある。それでデータが確定申告書作成コーナーに送られる。この手続きも難しくなくて、画面の指示の通りにクリックして何度もスマホマイナンバーカードを読むだけだけど、データが連携するまでには微妙に10分から、数日かかることもある。(なぜか医療費通知情報はほぼ自動的に連携されている)
手入力の場合、郵送された各種書類が絶対に必要なんだけど、そういうものは無くす危険性がある(実際、年取った親を経由して紛失したことあり)。再発行とか依頼すると何日もかかり、確定申告期限に間に合わないかもしない(大体確定申告書を作り始めてから気づくので)。その点、ネット経由でデータを取り込む方が確実で早い、が、それでも連携は事前に必要ということ。今回、連携しておけば来年はいきなりできると期待しているが、どうだろう。
毎年決まってる面倒なデータ(例えばふるさと納税や投資関係など)だけe-私書箱連携で取り込み、生命保険なんかは送られた書類の1〜2箇所を手入力、でもいい。毎年違う小さな団体へ寄付した場合などは、そうするしかない。

まとめ:e-Taxは(マイナンバーカードを読める)スマホがあればPCでできる。メリットは、各種書類と入力が不要になること。郵送された書類の確実な保管が不要で、入力の間違いも減る。他には、印刷と郵送が不要になる(申告書のpdfファイルは出力される)。還付金が早い(これは比較的どうでもいい)

 

#バイトしないで遊んでばかりいたら収入が去年より100万以上減ってしまった( ;  ; )

追記:後日、e-Taxからのお知らせを見るためにPCから同サイトに入るには、事前準備セットアップ(ブラウザの機能拡張)をインストールする必要がある。

クレーマー対策

最近は小病院にいるので大物は来ないけど、有名施設にいるときは割と頻繁に面倒な人が来た。
自分は小クレーマーの相手は割と得意だけど(似たもの同士?!)、大物はやっぱり無理なので、接客業としては、対応技術を磨きたい。

「いま謝ったよな? 責任とれ!」とクレーマーに言われても切り返せる“3点ピンポイントお詫び法”  援川聡 2018.9.26 4:50
の抜粋
ーーー
日本国内においては、お詫びの言葉を使わないでクレームを収束させることはほぼ不可能

次のように、3つの観点からピンポイントでお詫びします。
(1)相手に与えてしまった「不快感」に対してお詫びする
→「ご不快な思いをさせてしまい、申し訳ございません」
(2)相手が感じている「不満」に対してお詫びする
→「ご不便(ご迷惑)をおかけして、申し訳ございません」
(3)こちらの「手際の悪さ」に対してお詫びする
→「お手間をとらせてしまい、申し訳ございません」

このような限定的なお詫びであれば、
「謝ったんだから、責任をとれ!」と詰め寄られたとしても、
「私どもの過失を認めて補償するという意味ではございません」
と、切り返すことができます。

初期対応でのお詫びは、相手の怒りをクールダウンさせるツールであると同時に、クレームのレベル(悪質性)を測るバロメーターにもなる

初期対応では、お詫びとともに、「共感・傾聴」の姿勢を示すことが重要です。相手に共感を示すには、「あいづち」が効果的です。また、傾聴とは、相手の話を聞き流すのではなく、じっくり相手の主張に耳を傾けることです。

途中で相手の話の腰を折ったり、反論したりするのは厳禁。言い訳がましい説明で逃げようとすると、相手は「言いくるめられてたまるか」と反感をもち、さらなる怒りを買うことになります。

「5分間」我慢すれば8割は解決する

・クレーム対応では、とにかく「スピーディな行動」を心がける
・お客様第一主義を貫き、常に「目配り」を怠らない
・自分が受けたクレームは、何が何でも責任をもって解決する
・クレーマーも「お客様」だから、顧客満足の視点を忘れてはいけない
・相手が納得するまで、とことん話し合うべきだ
・事実関係がはっきりしないうちは、「お詫び」してはいけない
・相手の理不尽な要求に対しては、論理的に反論するべきだ
・クレームの実態を把握するために、どんどん相手に質問するべきだ
・相手が大声を張り上げたら、悪質なクレーマーとして警戒すべきだ
・クレーマーの本性を暴くために、相手の心情まで踏み込んで考えたほうがいい
・相手の誤解が原因だとわかったら、話の腰を折ってでも、すぐに指摘するべきだ
・「ネット炎上」には最大の注意を払い、特別な警戒態勢を敷く必要がある
・クレーマーの要求に対しては、できる限り補償内容を小さくするべくギリギリまで交渉するべきだ
・どんな相手でも、要求を断るときには、言い分をすべて聞いてからにしたほうがいい
・クレーマーは千差万別だから、事前準備するよりも「でたとこ勝負」するしかない
上記のチェックリストは、すべて、クレーム対応において「やってはいけないこと」です
ーーー
参考になるだろうか。

クレーマーは良性の「短気な高齢者」から悪性(人格障害暴力団ほか)まで多岐にわたるので、早期に見極めて、Fight-or-Flightを決めたい。
参考:こんな患者ならどうする?

医療費は高すぎるか、誰が悪いのか

Twitter(現X)あたりでは医療(コストと人)を攻撃する書き込みが目立った(こちらの職業柄)ので考えてみる(詳しくないのでネットから引っ張った情報で大雑把に)。

例)高血圧で再診で処方
診療所で
再診料73点+外来管理料52点+特定疾患療養管理料225点+処方箋料68点+特定疾患処方管理加算66点→4840円。3割負担で1450円。

薬局で(ノルバスクとアジルバを1ヶ月分)
調剤基本料91点、薬学管理料38点、調剤料80点、薬剤料570点→7790円。3割で 2340円。

血圧を測って、5分話して(もっと短いかもしれない)、処方箋発行して5千円近くっていうのは高すぎる、というのは、その点だけ見たらそうかもしれない。
薬の値段については、その性能(24時間血圧を下げる、それを長年続けることで脳卒中などを予防する効果が科学的調査により確認されている)からしたら、一概に高いとも言えない、かもしれないし、これじゃ高い、1錠10円くらいなら文句言わず払ってやるっていう人なら結構多いかもしれない(ジェネリックなら薬剤料は1/3くらいになるかも)。これでも高いっていう人は、ガム1個より薬の価値が低いってことだから、論外とする。

上の例でいうと、純粋な薬代は75%程度で、25%程度は薬局の手間賃に近い(薬が安ければ手間賃の割合はもっと上がる)。
それを言うなら診療所のコストなんてほぼ全額手間賃かもしれない。何かくれたわけじゃないし、肩を揉んでもくれない。ただ待たされて、処方箋という紙を渡されただけだ。
なぜこれが当たり前になっているのか。

1:世界的には高くない
多分。先進国の医療費で日本より安い(自己負担ではなく、全体)というのは想像し難い。医者の年収だけみると、米国は日本より高いけど他は日本よりやや高い程度(https://www.saijuken.com/kaigai/index.php?世界の医師の給料)。旧共産圏は低い(国民平均の2倍程度)。

2:質の高い医療を継続的に提供するには金がかかる
質の高さというのは、質の低さを経験しないとわからない。途上国に行って怪我や病気で受診すればわかるだろう。特に日本ほど臨床検査環境が整っている国は少ない、、、これも推測だが。急に来た患者の血液検査とCTなんかがすぐできる病院がごろごろある(首都圏の場合だけど)、しかもそれほど待たされずに(予約なしの待ち時間では日本は短い方では?)、っていうのはなかなかないだろう。
医者の質は、先進国(含・韓国、トルコ、チェコハンガリーあたりの都会)ではあまり変わりない。突出して高い地域はなさそう。それ以外では、低いということ。十分な教育を受けて最新知識と経験のある医師の判断、というのは目で見えないので、それに対してコストを払いたくないというのはあまりに稚拙であろう。

3:国民総医療費は?
問題と答えはここに集約されてるけどhttps://www.jmari.med.or.jp/download/RE077.pdf
GDP 保健医療支出をみると、他国と大差なし。
健保組合の財政悪化の原因は、高齢化(保険料収入低下と医療費増大)>>経済低成長(保険料収入低下)であって、医者の報酬が高いからじゃない。←これを強調したい

#いやむしろ財務省が財政改善のために、まだ医療従事者の報酬には削る余地があると思って、”医者の給料が高いのが諸悪の根源キャンペーン”を打ってるのではないかという邪推もしたくなる

医者のイメージ(誤解されていること)

医者は同業者どうしで集まりやすいけど、たまに他職種の人と話すと、昔ながらの医者のイメージってかなり強固で、そういうのはまだ結構残っているもんだなと思う。

何でも治せるんでしょ?
内科医は基本的に診察室で検査をオーダーして結果を見て薬を出すのが仕事なので、手術はもちろん傷の処置すらできないし(できる人もいようが)、検査なしで話と診察だけじゃできるのは疑い診断までで、自分の手で治すことはできないし、また専門が違うとよくわからないことも多く、汎用性はとても低い。ほぼ診察室という空間内でしか使えない能力。逆に外科医は傷の処置と専門内容、以外はサッパリだろう(内科標榜して開業する外科医を内科医がどう思っているか)。
ということを理解せず、治癒魔法でも使えるみたいに思っている一般人が多い。
自分の親すらそうで、親父は「俺が好き勝手な生活しても病気にならないような薬を出せ」「お前が医者なのに俺が病気になるなんて、お前を医者にした意味がない」とか言っているくらいなので近々、お看取り技術くらいは見せてやりたいと思っている(本人は見られないが)。

真面目で熱心でやる気
最初はみんなそうだろうが、だんだんそうでもなくなる。色々余計なことを考えてしまった結果、自分の人生において医学・医療は最も重要ってわけでもないと思っている。ただ仕事のレベルが一定以下にならないようにしようとは思う。

インテリ
個人差が大きい。科の雰囲気もある。内科はいろいろだけど、神経内科は比較的インテリで性格悪そう。逆に外科系(特に整形外科)は非インテリかつ体育会系であることに異論なかろう。
精神科医は読書家っぽいけど、偏ってそう(イメージ)。

拝金主義もしくは博愛主義・慈善家
どちらかで、金銭的に医者を攻撃する場合は開業医=拝金主義というレッテルを貼る。そして多くの人は、医者は博愛主義・慈善家でなくてはならない(そうあってほしい)と思っている。
同世代(50歳前後)から上で、高収入のために医者という職業を選んだという話はあまり聞かない。ただ収入で職場を選ぶことはある。

金持ち
ほら来た。これって昔の流行っている開業医のイメージ(昭和の時代にベンツやポルシェ)だろうか。今の時代、開業医なおもて儲からず、ましてや勤務医をや、て感じで、収入は一流企業の会社員や銀行員に敵わないことも多いし(退職金や福利厚生が期待できない)、ましてや成功している企業経営者より遥かに劣る。
ただ、医者として普通に働いて浪費しない限り、貧乏ってことはないだろう。

結婚して子供がいて一軒家に住んでいる
持ち家は、上の金持ちの続きに過ぎない。今時は職場近くか都会のタワマンが多そう(イメージ)。
特に女医さんは未婚者が多いし、男でも独身は珍しくない。子供がいない人も。お金と社会的地位からすると結婚しやすそうだけど、仕事に集中しすぎて適齢期を過ぎたとか、一人でも生きて行けるし勝手にしてたいから結婚やら子供は煩わしいっていう人が多そう。