しがない内科医の雑念

底辺医がなんか語っとる

医者は奴隷認定されました

宮島俊彦(兵庫県立大大学院経営研究科客員教授。元・内閣官房社会保障改革担当室長)
 文部科学省の局長が、私立大学支援事業の選定対象になるよう便宜を図った見返りに、息子を東京医科大学に不正に合絡させてもらっていた受託収賄事件は、全国の医学部に深刻な影響を及ぼしつつある。
 この不正入試事件を受け、東京医科天学が過去の入試について調査したところ、同大学では女性受験者の得点を操作し、女性の合格者数を抑えていたと判明した。さらに、ある新聞社による全国の医学部における調査では、男性の合格率が女性よりも高い傾向が浮かび上がった。事件の発端となった東京医科大学の男性の合格率は、同調査では女性の合格率の実に3倍を超えていた。
 このような男女の合絡比率の人為的操作の背景にあるのは、大学病院での医師の劣悪な労働環境である。大学病院では、高度急性期医療を受け持っており、救急需要も高い。このため医師の時間外労働は当たり前になっているし、当直明けにさらに働くような異常な勤務形態も見られる。また、臨床に関する問題解決の活動と自分のための研究の区別が唆味で、労働時間の管理もルーズである。
 このような劣悪な労働環境であるがゆえ、出産や育児などで安定的な勤務が難しくなるケースの多い女性医師の数が増えると、大学病院の運営に支障が生じるおそれがあるので、入試の時点から女性の医学生数を抑制しようとしているのだ。問題は医師の労働環境の劣悪さであるのに、あたかも女性特有のライブイベントに原因があるかのように、問題のすり替えが行われていると言えよう。こうした日本の医学部の前近代性に対しては、海外からも批判の声があがっている。
 一般の労働者に関しては、先の国会でいわゆる働き方改革関連法案が成立。2019年4月には、時間外労働の上限規制、勤務間インターバル制度の普及、同一労働同一賃金の促進なとを定めた同法の施行が決まっている。しかし医師については、長時間勤務は患者への医療提供の確保のためであるので、すくに「やめろ」と言われても混乱してしまうため、厚生労働省の医師の働き方改革に関する検討会で別途、議論されている最中だ。同検討会では、今年度中に結論を出す予定になっているが、やや遅きに失した感は否めない。
大学病院は、教育、研究、臨床の3つの機能を持ち、医師の養成を行っている。すなわち、日本の医療の原点をかたちづくっていると言える。そこでの働き方が劣悪だということは、日本の医師の働き方全般が劣悪であることにほかならない。
 医師の働き方改革は、まずは大学病院から着手しなければなるまい。
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役人の子供の裏口入学が入試における女性差別の話にすり替わったことから、医師の労働問題までをわかりやすく書いてあったので引用した。

 

おそらく半数以上の医師は、少なくとも私大の合否については、試験の点数だけで判断すべきである、とは思っていまい。医者ならわかるだろう、臨床医としての能力は試験で高得点を取れることではないと。むしろそんなに頭が良くなくても、元気で休まずコミュニケーション能力が普通にあって、言う通りに作業して仕事覚えて面倒がらずに何でもやる奴の方が、オーベンからしても使えるし、患者からしてもありがたい。そういう奴を選んだら、たまたま男が多かったというだけかと。
入試で女子を減点する明確な規定を設けている大学については、脇が甘いとしか言いようがない。
尚、理想は、女医がどんなに増えても無理なく回るような医療制度が出来て、しかも女医の結婚・出産率が一般人と変わらないような(女医の1/3の法則については、まわりを見る限りその通りと思われる)状態だが、たぶん自分が生きている間には無理だ。

 

で重要な問題はこちら、医者の働き過ぎを急に改善させると多くの患者に支障が出るから先延ばし、つまり多数の国民のために少数の医者の犠牲はやむを得ないという国(厚労省)の判断。
研修医は、保護対象となっている。仕事がきつくてまた自殺者が出たり、事故が起きてもその研修医個人の責任にできず、最終的に厚労省が叩かれるから。
厚労省は医療を管理する。なんとなく中立な管理者と思ってたけど、そうではなくて医者を「生かさず殺さず」なるべく安く働かせようとするところだったんだ。

自分は過労では全くないので大丈夫だけど(ただ仕事がつまらなくて鬱傾向)、過労で体や精神が壊れそうなら、その前に逃げ出すだけの判断力と体力は残しておきましょう。倒れるまで働くなんて性根まで奴隷だよ。

 

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